心房細動の診療方針
■正常の心臓は、洞結節からの規則正しい信号が心臓全体に伝わることで効率よく仕事をこなすことが出来ます。
■心房細動は洞結節からではなく、左右の心房で不規則な速い速度の信号が発生し、それが不規則に心室に伝達されるために生じる不整脈です。
■一般的に、脈は速くなりますが、逆に遅くなる場合もあります。
■普段は脈が規則正しい人が、突然心房細動になる場合は、胸部不快感、動悸を感じることになります。そして、それが自然に元に戻れば、「発作性心房細動」とよばれ、何らかの治療を行わなければ治らない場合は「持続性心房細動」と呼ばれます。
■長期間にわたって心房細動が持続している場合は、「慢性心房細動」となります。
■心房細動になると、心房の収縮による心室への血流の後押しがなくなる分、心拍出量が減少します。心機能に余裕がある場合、いきなり心不全になることはありませんが、慢性心不全の患者さんでは増悪のきっかけになり得ます。
■心房内の血流が遅くなり、血栓を生じやすくなります。心房細動が、脳梗塞などの動脈血栓塞栓症の原因になり得ます。若年者で弁膜症や心不全、心房の拡大などがない場合は、その可能性は高くないと考えられています。また、発作性でも慢性でも血栓塞栓症の発生率に差はありません。
■心拍数が速いときには、まず脈拍コントロールを行います。その上で、除細動の方針を検討します。
■新たに発生した心房細動で症状が強い場合に、除細動を試みます。除細動の方法には薬物的除細動(注射、内服)と電気的除細動があります。まず、薬物治療を試みて、無効な場合に電気的除細動を試みます。
■抗不整脈薬には「催不整脈作用」があるので注意が必要です。
■発症から数時間の場合は、外来で注射による除細動を試みます。さらに長時間持続している場合や、注射が無効な場合は入院治療になります。抗凝固薬の持続点滴で血栓を予防しながら、抗不整脈薬を内服して洞調律に復帰するのを待ちます。
■発症から数日以上経過してしまっている場合、まず経口の抗凝固剤を内服していただきます。症状が強い場合に、抗不整脈薬を内服していただき、自然に洞調律に戻るのを期待します。くすりの効果と副作用を評価するために、翌日の受診が必要です。数週間以上経過観察しても、心房細動が持続し症状が強い場合に、電気的除細動を行います。電気的除細動を行う場合は、一泊二日の入院をしていただきます。
■抗不整脈薬や電気的除細動で治療する場合と、そのままにして経過観察場合を比較しても、予後に差はありません。ですから、自覚症状に乏しい場合は、無理な治療をしないことをお勧めします。ただし、抗凝固療法は重要です。